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『風をつかまえた少年』 ミステリマガジン 2011 2月号

Posted by erkazm on 25.2012 新刊書評 0 comments 0 trackback

風をつかまえた少年風をつかまえた少年
(2010/11/19)
ウィリアム・カムクワンバ、ブライアン・ミーラー 他

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かつてイギリスのブレア首相は、国を立て直すために教育の必要性を強く説いた。学ぶこと、それは強制されるものではなく、自ら望んで手に入れるものだ。そういうことが身に沁みて判るのは、社会に出て世の荒波に晒されてからだ、というのが情けない。日本でもカルチャー教室は花盛り。通信教育を望む人の平均年齢は驚くほど高い。
 
さて、アフリカにマラウイという国がある。どこにあるかと尋ねられて、即座に答えられる人は少ないのではないだろか。タンザニア、モザンビーク、ザンビア、ジンバブエに囲まれ、アフリカ屈指の大きな湖「マラウイ湖」に沿ってある小さな国だ。世界の最貧国に数えられている。
 
『風をつかまえた少年』の著者、ウィリアム・カムワクンバはこの国の地方都市・ウィンベで育った。5人兄弟のたった一人の男子として父親の農業を手伝いながら学校に通うごく普通の少年だった。

しかし、2000年に訪れた洪水と旱魃、そして時の大統領の無策により、マラウイは大飢饉に襲われる。カムワクンバ家は貧しいとはいえない農家だったが、それでも食料は底をつき、一日一食、一口を家族みんなで分けるだけの日々が続く。ようやく中学に進学したウィリアムだったが、学費が払えず通うことを断念する。
 
どん底だった経済状態に、ほのかな明かりが見え出したころ、何かを学びたいと飢えていたこの少年は、とあるNPOの寄付によって成り立った図書館で、物理学の入門書と「エネルギーの利用」というアメリカの教科書に出会う。同じような境遇の少年たちが不良化していく様を横目に、彼は「実用としての物理と科学」にのめりこんでいくのだ。ゴミ捨て場に通い、利用できるだろうガラクタを集め、時には人に懇願して売ってもらい、ある目的に邁進していく。周りの人々の目は冷たく、奇人変人と詰られるが、彼の夢は大きかった。
 
風力発電。本から得た知識はそれだ。電気もガスも水道もないこの村に、ふんだんにあるのは風だけだった。アメリカの教科書だけを頼りに、ウィリアムはついに電力を手に入れる。手作りの風車は小学生の工作のようだが、理論は正しく、明かりを手に入れラジオを聞き、携帯電話の充電まで成し遂げてしまう。
 
変人扱いしていた村人も、彼の功績を称え始め、やがて首都のマスコミが報じ、その記事がインターネットで世界中に配信されたのだ。一人の天才少年が世の中に知られた瞬間だ。
 
飢饉で人々が争い、死の直前までを描いた前半はアフリカの多くの国で現在も起こっている実態だろう。しかしウィリアムの「物づくりの欲求」は、少年少女だから持ちえた好奇心だ。この欲求は国や時代を超えて、天才と呼ばれる人々を作り上げてきた。少し昔なら見過ごされていたような存在を、世界中に張り巡らされた情報網が鋭くキャッチする。まさにウィリアムは時代の寵児である。

「何かを実現したいと思ったら、まずはトライしてみることだ」というウィリアムの信念は、幾つになっても心がけたいと強く思う。
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