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アニエス・ジアール『エロティック・ジャポン』@ミステリマガジン4月号

Posted by erkazm on 18.2011 新刊書評 1 comments 0 trackback
エロティック・ジャポンエロティック・ジャポン
(2010/12/18)
アニエス・ジアール

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書店の平台でひと際目を引いていた。しかし手に取るのは躊躇われる。女ならばなおさらだ。しかし、どうしても気になって取り上げ中をパラパラ見て「これは買いだ」と直感した。で、値段を見て仰天、3800円!一度は戻して家に帰ってきたものの、どうしても欲しくて手に入れた本が『エロティック・ジャポン』である。

著者のアニエス・ジアールは新進気鋭のフランス人女性ジャーナリスト。もともとは日本のアニメの研究家として有名だったそうだ。しかし、2006年に本書が刊行されると日本のサブカルチャーのエキスパートとしての地位を確立し、フランス政府に第一人者として認められた。本国でも4000円近くする本だが、現在でも順調に版を重ねているという。
 
さて本書は徹頭徹尾、日本のエロスについて論じている。第一章のタイトルはなんと「パンティ愛」。下着に対するフェティッシュな欲望は世界共通だと思っていたが、どうやらそうではないらしい。

小学生のスカートめくりから始まり、カメラ小僧のパンチラ写真やいまや懐かしい感じさえするブルセラ女子高生の話は当然で、パンティを活力源とする「ドラゴンボール」の亀仙人や「らんま1/2」の八宝菜老人、「シティハンター」の主役、冴羽獠まで俎上にあがる。欧米ではどうやらパンティを見て目を血走らせ鼻血を噴出すキャラクターは受け入れがたいらしく、札束に入れ替えられている場合もあるという。あまりにも幼い時から刷り込まれているせいか、日本人は異常なことだと認識していなかったのだ。
 
セックスのさなかに女性が叫ぶ言葉も、外国では「カム」なのに、日本人は「イヤ」。一度は拒否しても、抗えぬ快楽に身を委ねる様に、日本男子は魅力を感じる。確かに強姦もののAVや恋人同士のDV体験など、陵辱することに対する男の執着は女には理解しがたい。著者のいう、恥の文化が直接エロスに結びつくがどうかは少々疑問だが、実際の例をこれだけ見せられると、日本の文化の根底に流れる性に対する認識が、特殊なものであると考えざるを得ない。
 
異種婚姻譚や性器のご神体、SM、スカトロ、ラブドール。コスプレ、メイドにビジュアルロック。やおい、宝塚、ホモにゲイ。マザコン、女装、ナショナリズム。ヤマンバ娘に援助交際。歌舞伎町に溢れかえるセックス産業のさまざままで、著者の好奇心は縦横無尽に走り羽ばたく。日本人に生まれながら、こんなに奇妙な欲望が世の中に存在していたことをまったく知らなかった。少し損をした気にさえなる。

5年ほど前の本なのでいまさらという事柄も多いが、ミニモニがAKB48に変わったくらいの違いしかないのかもしれない。西洋人が日本文化のどこに惹かれるのか、日本人が気づかないエロティックなファクターは何なのか、著者の思惑とは反対に、外国人を観察・研究する本としても興味深い。
 
セックスの年間平均回数がいつも世界の中で最低の日本。しかし本書を読むと、行為そのものよりもエロティクライフがバラエティ豊かなことが原因かもしれない。創意工夫と想像力では世界一。日本人は古くからバーチャルなことが得意だったというわけか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

来月から本格始動の「HONZ」コンテンツのひとつに”カバーなしだと外で読めない本”というジャンルを作ろうかと思い、最初に浮かんだ本がこれ。

本屋ではいつもカバーを断る。
ひとつには処分するときにゴミになるからで、もうひとつは本の宣伝をしたいからだ。
書評家たるもの、自分の読んでいる本は誰かに興味を持ってもらいたいと思うもの。
実際、電車のなかでまじまじと見られ興味をもってくれた、と手ごたえを感じたことは一度や二度ではない。

しかし、この本はさすがに恥ずかしくてダメだった。
それじゃ、外の装丁をはずしてみたら…いやぁ、もっとダメ!
書店で確認してみてください。
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2011.06.19 01:02 | | # [edit]


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