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5月の課題本 高橋秀実『ご先祖様はどちら様』(新潮社)

Posted by erkazm on 25.2011 本のキュレーター 0 comments 0 trackback
ようやく一息ついた。
東日本大震災の後、全くといっていいほど新しい仕事がなくて心配していたら、四月の半ばから段々もとに戻ったのはいいけれど、なぜか一挙に押し寄せた。ゴールデンウィークを全休にしたものだから、今週はじめまで目いっぱいの締め切りに追われてしまった。とはいえ、同業者の半分も働いていない勘定で、苦しいなんて言えるわけもない。
 
ようやく今月の課題本の書評を書いた。高橋秀実、大好きなノンフィクション作家である。


ご先祖様はどちら様ご先祖様はどちら様
(2011/04)
高橋 秀実

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バラク・オバマ大統領がアイルランドを訪れている。そこで彼はアイルランド語で「私ほど本当のアイルランド系はいない」と演説した、と報道されている。(2011.5.24日経新聞夕刊)

記事によると、大統領は米国の系図学者が、彼の祖先がアイルランドの靴職人であったことを調べ上げ、「大統領になると、みな生まれた場所とか、過去を知りたがる」と自身の出生地論争を皮肉ったという。
 
彼の父親がケニアのルオ族出身だということは広く知られている。母親はカンザス州の出身で、ふたりはハワイで知り合い結婚した。母方の係累はヨーロッパからの移民で、今回の演説は、そのルーツがアイルランドであったことを明かしている。まさに移民の国、アメリカが生み出した大統領である。
 
さて、日本にも系図業者はごまんといる。ある程度、年を取り故郷を離れて長い時間が経ち、親たちが鬼籍に入り始めると、突然自分のルーツが知りたくなるようなのだ。大方の人は、自分の曾祖父母ぐらいまで、わりと簡単に調べられる。日本の戸籍は偉大で、お金や手間隙かけずとも、役所の書類で確認できる。
 
しかし人間は欲深いもの。もっともっとと遡っていくうちに、江戸時代の身分を知りたくなり、そのうち戦国時代、室町、鎌倉まで到達する。そのうちの誰か有名な人の子孫になりたくなるようなのだ。家系図の業者はその心に忍び込む。満足できれば、害のない商売ではある。
 
高橋秀実もある日自分のルーツを調べ始める。曾祖父母は16人いる。その上は32人。樹形図は2のn乗となり、すべてを辿りきれるわけがない。そこでまずは父方。本籍の宮城県から戸籍を取り寄せ、学校の先生であったという曽祖父までは簡単に割り出せた。

ところが母方の父親(高橋の祖父)の両親は不詳。何回か養子縁組されていたようで、あっという間に挫折。母の母の兄弟姉妹についてもあまり知らされていなかったようで、そこには当時なんらかの事情があったのではないか、と推測してしまう。

高橋は自分の家系を調べると同時に、代々由緒のある家系の人たちへのインタビューも行っている。地方の豪族や神社、酒蔵や老舗の旅館など、その家系自体が商売の売りになっている人たちも多い。源氏平家の流れも興味深いが、私はできれば皇族へも話を聞きに行ってほしかった。この人ならしゃべってくれたのではないだろうか。

語られなかった皇族たちの真実 若き末裔が初めて明かす「皇室が2000年続いた理由」 (小学館文庫)語られなかった皇族たちの真実 若き末裔が初めて明かす「皇室が2000年続いた理由」 (小学館文庫)
(2011/02/04)
竹田 恒泰

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膨大な情報量に振り回され、祖父母の墓の前に佇むばかりの高橋に、最強の妻がささやく。「何もかも無にして、無かったことにしたいだけなんじゃないの」
今回もまた妻に助けだされている。彼のノンフィクションには愛する妻が欠かせない。

そうそうこういう本もある。

千年、働いてきました―老舗企業大国ニッポン (角川oneテーマ21)千年、働いてきました―老舗企業大国ニッポン (角川oneテーマ21)
(2006/11/09)
野村 進

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日本の老舗を取材した労作。震災後、日本の企業形態がもう一度大きく様変わりしようとしている今、何かの道しるべになるかもしれない。
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