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地震酔いの秘密に迫る、高橋正絋『動揺病』(築地書館)@小説現代 1997.8

Posted by erkazm on 21.2011 掲載記事 2 comments 0 trackback
動揺病―ヒトはなぜ空間の奴隷になるのか動揺病―ヒトはなぜ空間の奴隷になるのか
(1997/07)
高橋 正紘

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大震災からこっち、余震が収まらないせいだろうか、いつもふらふらと揺れているような気がする。特にパソコンの前に座り、原稿を打っているときにぐらりとして、思わず電燈のヒモを確認してしまう。誰が言い出したか「地震酔い」は、確かに乗り物酔いに似ている。

先日、テレビを見ていたらこの症状は「動揺病」である、と医師が話していた。
動揺病?そんな本を読んだことがあるぞ、と書庫の奥を探してみたら、あったあった。

1997年6月の奥付だから、その当時の切り抜きを探したら、小説現代で書いていた。それも普段は3冊紹介する新刊案内のページに、この1冊だけぶち抜きで紹介している。よっぽど印象深かったのだろう。

実際、金魚を袋に入れてぐるぐる回す実験や、上下や左右をさかさまにする眼鏡を付けての実験など、面白かった記憶がある。

書評を始めて間もない頃、まだ手書きだったのでテキストはハードコピーだけだ。こんな機会でもなければ、忘れさられた書評なので紹介する。
5000円もする本だから、興味のある方はまず図書館で探してみてください。
以下はそのときの原稿です。

高橋正絋『動揺病 ヒトはなぜ空間の奴隷になるのか』(築地書館)

先日、一冊の本に呼び止められた。高橋正絋『動揺病 ヒトはなぜ空間の奴隷になるのか』(築地書館)である。

「動揺病」とは聞きなれないが、実は大変身近な病である。車や船に乗った時に起こる乗り物酔い。多くの人が経験したことがあるだろう、あの吐き気、眩暈、冷や汗、そんな症状を呈することを「動揺病」というのだ。著者は山口大学医学部教授で専門は耳科学、特に平衡医学を研究している。

ありふれた日常的な症状である乗り物酔いはどうして起こるのか。実はよくわかっていないのだ。長年、物を見るときに眼球はどんな運動をするのか、というような基礎医学に取り組んでいた著者が「動揺病」と出会ったのは、彼がスランプのときだった。ある研究がまとまってほっとしたのも束の間、次のテーマを探すのに彼は苦しんでいたのだ。

苦し紛れの遊び半分で、彼は装着すると左右が逆転したり、上下がさかさまになったりする眼鏡を購入し、それを付けて歩いてみたのだ。すると変なことがわかった。

上下が逆転する眼鏡を付けた被験者は、通常と全く変わらぬスピードでスタスタ歩けるのに、左右が反対に見える眼鏡を付けると、あっちにぶつかり、こっちに衝突し、とふらふらして顔面蒼白になり、仕舞いにはしゃがみ込んで嘔吐してしまったのだ。

こんな現象は、どんな文献にも書かれていない。学者としてピンとくるものがあった。実験を続けるうちに、同じような症状が金魚にもあることがわかってくる。彼はこの現象「動揺病」の研究にのめり込んでいく。

小学生の頃、バス旅行のときに「酔う人」は特権階級だった。先生やガイドさんの目の届く場所に座らされる。ゆで卵を食べると酔いやすい、だの、都こんぶを舐めていれば大丈夫、だのいろいろな俗説がまかり通っていた。私自身、自分で車の運転をするまで乗り物には弱いほうだった。今でもブランコは苦手だ。最近では宇宙飛行士がかかる「宇宙酔い」が注目されているが、予防法はまだない。

本書は学術論文ではない。かといって、小説を読むようにスラスラと読むのは難しい。何しろ二段組で500ページ近い大著である。しかし、理科が好きで、少々理屈っぽい文章に耐えられる人なら面白く読める。
研究者が何かを発見していく過程はエキサイティングである。そればかりではない。動揺病研究をめぐる人々のいさかいや挫折は、普通の人たちの生活のなかでもよく出会う事件だ。

本書の副題でもある「空間の奴隷としてのヒト」の存在とは、科学的な意味だけでなくヒトとしての有り様、哲学までも考えさせられる。厚さに尻込みするなかれ、魚類からヒトまで受け継がれてきたこの病は、進化の過程で何らかの役目をしてきたはずなのだ。
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ふとしたきっかけでこちらのブログにたどり着き、私の好きな宮田珠己さんを彷彿させるブログタイトルだと思い、時々訪問させていただいてます。タイトルの理由もわかりましたし。本大好き活字中毒ですが、長年生きてくると本の選び方が画一的になりがち。こちらで紹介される本を僭越ながら参考にさせていただいてます。さすが本のプロッフェッショナル。「私には無理」というものも多数。ですが「エンブリオロジスト」始め、非常に感銘を受けたものも多数。ありがとうございます。
2011.04.27 10:52 | URL | 虫 #- [edit]
ようこそお越しいただきありがとうございます。
返信が遅れてすみません。
連休、完全に休んだらそのあと仕事に追われました。

偏っているかもしれませんが、私が面白かった本をご紹介していきます。
よろしかったらチェックしてみてください。
2011.05.13 18:30 | URL | erkazm #- [edit]


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