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もう一度『バカの壁』を読む

Posted by erkazm on 16.2011 未分類 2 comments 0 trackback
バカの壁 (新潮新書)バカの壁 (新潮新書)
(2003/04/10)
養老 孟司

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震災以来、情報過剰になりすぎている。本を読んでいても、1時間に一度ぐらいネットをチャカチャカやってしまう。そして自己嫌悪に陥る。知りたいという要求が果てしなくなり、消化するまもなく新しい情報を取り込む。

そしてある日、オーバーフロウした。

何も見る気にならなくなったのだ。1日、メールも見ずネットも繋がず、新聞も本も読まず、料理と掃除とトレーニングと買い物だけで過ごしたら、あら不思議、胃の中にあった錘みたいなものが、ずいぶんと軽くなっていた。

こういう状態のことを、何かで読んだのに思い出せない。記憶を辿りきれず、自分を忌々しく思っていたとき、武田徹氏のブログを読んで問題が氷解した。そうだ!『バカの壁』だ。

だれが言ったか「書籍流」の中から発掘し、ゆっくり読んだ。普段私は、付箋を貼ったり目印をつけたりはしないのだが、今回は気になった箇所をチェックしたら、付箋だらけになってしまった。

CARWN6T2.jpg


発売当時(2003年4月 もう8年も前になるのか!)上梓と同時に読んだが、元々『唯脳論』などが好きだったので、この本は「養老孟司の上澄み」だと思った。まえがきに書かれているように、養老さんの語ったことを、編集部が文書化したものをだから、とても平易に書かれている。学者の文章ではないので、言葉を理解できないということはない。だからこそ、大ベストセラーになったのだが、当たり前のことを当たり前に言っているという印象だったのだ。

この大災害からこっち、価値観や正義感、もっと言ってしまえば人の本性があからさまに見えるようになった。それはとりもなおさず、私の本性も晒しているということだ。それが怖くて、何か指針になるものを、と思っていたところに、この易しく語られた文章がするすると身体に入ってくる。以下は引用。

「わかっている」という怖さ
「常識」=「コモンセンス」というのは「物を知っている」つまり知識がある、ということでなく、「当たり前」のことを指す。ところが、その前提となる常識、当たり前のことについてのスタンスがずれているのに「自分たちは知っている」と思ってしまうのが、そもそもの間違いなのです。P15



日本は地震国なのだから、大震災がくるのは当たり前で、ご先祖は「この地震では津波がここまできたよ」と教え、海沿いの町では消防施設の柱にその位置を示してさえいたのに、
なんとなく大丈夫のような気がしていた。自分だけは死なないような変な確信。原子力発電だって、あれだけ原爆の怖さの教育を受けたのに、恩恵だけをありがたく受け取っていただけだ。福島の人に申し訳ないと思う人はどれだけいるのだろう。

安易に「わかっている」と思える学生は、また安易に「先生、説明して下さい」と言いにきます。しかし、物事は言葉で説明してわかることばかりではない。《中略》
何でも簡単に「説明」さえすればすべてが判るように思うのはどこかおかしい、ということがわかっていない。
この例に限らず、説明したからってわかることばかりじゃない、というのが今の若い人にはわからない。P17



まるで東電の記者会見のようだ。本当のことを言え、俺は知っているぞ、何か隠しているんだろう、説明せよ、説明せよ、説明せよ。
このくだりの後、ピーター・バラカン氏に「日本人は、“常識”を“雑学”のことだと思っているんじゃないですか」と言われて驚いているのだが、私もあれま、と手を打った。

「科学的事実」と「科学的推論」は別物です。温暖化でいえば、気温が上がっている、というところまでは科学的事実。その原因が炭酸ガスだ、というのが科学的推論。P25



原発でいえば、ウランなど核燃料を使って化学反応をおこせば、莫大なエネルギーが得られる、というのが科学的事実。どんな天変地異があっても、原発は安全だ、というのが科学的推論。推論だから、間違うこともある、ということを真剣に考えてこなかった。

第一章の『「バカの壁」とは何か』だけでも、これだけの付箋が貼られている。全部を紹介すると、著作権にひっかかりそうだ。だからあと1ヵ所だけ引用する。

勉強するということは、少なくとも知ることとパラレルになっている。知ることイコール勉強することではないが、非常に密接な関係があるのは当然です。《中略》
その後、自分で一年考えて出てきた結論は「知るということは根本的にガンの告知だ」ということでした。学生には「君たちだってガンになることがある。ガンになって、治療法がなくて、あと半年の命だよと言われることがある。そうしたら、あそこに咲いている桜が違って見えるだろう」と話してみます。
《中略》
知るということは、自分がガラッと変わることです。したがって、世界が全く変わってしまう。見え方が変わってしまう。それが昨日までと殆ど同じ世界でも。P60



科学的推論が覆され、知ることを知ってしまったあと、では何をしたらいいのか。まずは生き延びた人がこれ以上苦しまないように協力することが先決だが、そのあとのことは、胸のどこかにしまって、少しずつ考えることにする。

多くの人が「バカの壁」を読んだことだと思う。まだ手元にある人は、もう一度読んでみて欲しい。
3.11のあとの世界で読むと、多分印象が全く違うと感じるだろう。
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このコメントは管理人のみ閲覧できます
2011.04.18 19:54 | | # [edit]
佐藤さん、コメントありがとうございます。
本当に何を今読むべきか、悩みます。
ブログにおもうことを書いていきますので、ぜひ続けて読んでみてください。
2011.04.19 17:10 | URL | erkazm #- [edit]


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