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『やがて海へと届く』 気持ちの底が温かくなる物語

Posted by erkazm on 11.2016 新刊書評 0 trackback


東日本大震災で九死に一生を得た作家、彩瀬まる。『暗い夜、星を数えて―3・11被災鉄道からの脱出』(新潮社)で、その恐怖の体験を記しているが、作家としてどう昇華するか期待とともに注目していた。




あれから5年。『やがて海へと届く』が上梓された。それは私が望んでいたとおり美しくて恐ろしくて、でも腑に落ちる作品として完成されていた。
 
真奈とすみれは大学時代からの気心が知れた友人だ。3年前の大震災の前日、すみれは一人旅に出てそのまま行方不明になった。
 
すみれの恋人も家族も、彼女の死を受け入れ始めているが、真奈は未だに戻ってくるような気がしている。すみれのいないことに慣れてきた人たちを少し憎んでもいるようだ。
 
勤め先のレストランの店長が自殺し、新しい店長がやってきて仕事のやり方が一新されても、世の中は普通に回っていく。誰も好きになれないと思っていても、いつのまにか恋は訪れる。受け入れ難いと思っていても、日々は続いていく。
 
一人称の小説だが、一章おきに人物が変わる。かたや生臭い現実を過ごし、かたや夢のなかをさまよう。

死によって世界が隔たってしまったふたりの間に、ほんの一瞬だけ思考が交錯する。「フカクフカク」という呪文のような言葉は、やがてそれぞれのいるべき場所へいざなっていく。
 
不意に居なくなった大切な人は今でも旅を続けている。そして自分もいつかそこに行く。気持ちの底が温かくなる物語である。
(公明新聞 2・22)
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