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『「全世界史」講義」ⅠⅡ 1万冊読破の教養人による興奮の知的エンタメ!

Posted by erkazm on 10.2016 新刊書評 0 trackback
「全世界史」講義 I古代・中世編: 教養に効く!人類5000年史

「全世界史」講義 II近世・近現代編:教養に効く! 人類5000年史


なぜ「人類5000年史」なのか。理由は20万年に及ぶ人類の歴史の中で、文字資料が残っているのが5500―5000年前からだからだという。本書は絵や考古学的遺品から類推するのではなく、人間が生きて考えた証拠である文字を基本に歴史を組み立てていく。
 
著者はライフネット生命保険株式会社の会長兼CEO。京都大学で歴史の講座を受け持ったこともあるほどの知識人である。読書家としても有名だ。彼が読んだ1万冊以上の本から、事実と思われることを組み合わせ、5000年を一筆書きのように書き上げたのが本書である。Ⅰ・Ⅱの2冊に分けられ、5部構成となっている。Ⅰは古代と中世、近世以降がⅡとなる。

興味深いのはⅠだ。文字の誕生から始まり、さまざまな人の営みの「初めて」を辿っていく。学生時代に習った四大文明はそれぞれ個別に発生したように思っていたが、実は密接な繋がりがあり、時間とともに広がったことが証明されていく。

なぜ戦争というものが起こったのか、なぜ宗教が必要となったのか、なぜ国という概念ができたのか。さまざまな文献に記された事実を組み合わせ、大きな事件が鮮やかに解読されていく。

気候が温暖で、十分に食べるものがあり暮らしやすい時期には、人は争いを起こさないものだ。反対に寒さや暑さによって土地から逃げ出せば、玉突きのように次の土地の人間を追い出すか、あるいは闘わなくては生き延びられない。人もまた自然に生かされているのだ。

Ⅱは西暦1400年以降を細かく読み解いていく。年号を覚えるだけの味気ない教科だった世界史が、こんなにもダイナミックな因果律でできていたのかと感動すら覚える。

「歴史は苦手だ」と尻込みする前に、最初の10ページだけでも読んでほしい。本書はあなたの知的好奇心を大いに刺激するだろう。

(週刊新潮 2月11日号)
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