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須藤みか『エンブリオロジスト-受精卵を育む人たち』(小学館) @小説すばる 2010.4

Posted by erkazm on 06.2011 掲載記事 0 comments 0 trackback
海堂尊原作『ジーン・ワルツ』が映画化されました。
『ジーンワルツ』公式HP
主役の曽根崎理恵を菅野美穂が演じています。「クール・ウィッチ」とあだ名されるほど、冷静な産婦人科医で顕微授精のスペシャリストを、本当にクールに演じています。

私はこの作品の発表時に海堂さんと対談しています。(『波』2008.4
その関係で、文庫の解説を書き、映画のパンフレットにも参加しています。

ジーン・ワルツ (新潮文庫)ジーン・ワルツ (新潮文庫)
(2010/06/29)
海堂 尊

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『チーム・バチスタの栄光』で「このミステリーがすごい大賞」を受賞して以来、精力的に小説を書き続ける海堂さんの作品のなかでも、ちょっと異色の作品で、初めて桜宮市の外で物語が進みます。
産科小児科医療の問題点、不妊医療の不備など、現実に起きている事件や事故を取り入れながら、女性産婦人科医が矢面に立って闘っていきます。

先日の野田聖子議員の出産など、技術に法律が間に合わない現状。
日本の不妊治療はどうなっているのか、という疑問の一部をルポルタージュした作品に『エンブリオロジスト』があります。
第16回小学館ノンフィクション大賞の受賞作です。

エンブリオロジスト-受精卵を育む人たち-エンブリオロジスト-受精卵を育む人たち-
(2010/01/26)
須藤 みか

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須藤みか『エンブリオロジスト』(小学館) @ 小説すばる 2010.4

1989年の合計特殊出生率1.57ショックから、日本政府は少子化対策を続けてきた。2005年の1.25を底に、緩やかな上昇を見せてはいるが、それでも一生のうちに一人の女性が産む子どもの人数は1.3人程度。出産をめぐる問題は、まだまだ山積みの状態だ。

本年度、小学館ノンフィクション大賞の受賞作『エンブリオロジスト』は、そんな問題の一端、体外人工授精のための技術者「胚培養士」について書かれた、大変意義のある作品である。この聞きなれない職業は、人工授精が一般化され、体外受精児の誕生が珍しくなくなった今でも、国家試験はなく所属する団体が認めた資格だけで仕事を行っている。中には資格を持たない者もいて、教育や技術水準の均一化が望まれているのだという。

不妊とは子どもを望む夫婦が2年以上妊娠しない場合を指す。最初はタイミング法など自然妊娠を目指すが、その後は女性の体内に精子を直接注入する人工授精が試みられ、それでも妊娠できない場合、高度生殖医療と呼ばれる、いわゆる体外人工授精が行われるのだ。イギリスで1978年に成功、日本では1983年に東北大学で成功して以来、05年までにすでに11万人以上が生まれている。不妊女性の最後の希望、それが体外受精なのだ。
 
本書の著者、須藤みかも不妊治療のために訪れた病院でエンブリオロジストの存在を知る。医者でも看護婦でもない、白衣を着た人によって自身の人工授精失敗を告げられた須藤は「培養士」という人たちに興味を持つ。不妊治療を行いながら、ラボと呼ばれる病院のバックヤードで、ひたすら卵子と精子をかけ合わせ妊娠まで導く人々の悩みと希望を取材していく。

人間が相手である以上、採卵やその後の培養、そして授精の時間的な制約が厳しい。休みもきちんと取れず、その上命の種と人々の希望を背負っているため責任が重い。その重圧に耐え切れず、短期で辞める人も多いという。精密な技術を必要とするため、人によっての技術力の差も激しくなる。その割に単調な作業なため、ルーチンワークに陥りやすく、取り違えなど単純ミスも恐ろしい。
 
実は私は大学卒業後、しばらくウシなど経済動物の人工授精の仕事をしていた。動物ではほぼ完成していたその技術を人間に応用するまで、もうすぐというところで、25年前、「体外受精に畜産研究者が関与」という新聞記事が報道された。最終章で書かれているように、かなりセンセーショナルだったため直接の原因ではないにせよ、私が仕事を辞めるきっかけのひとつとなったのは間違いない。
 
あのころの夢が、地に足をつけた現実となっても、子どもを持ちたいと願う女性たちの悲痛な叫びは続いている。より多くの優秀な人材の育成が急務であることは間違いない。

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