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『ロゴスの市』 静かな小説に秘めた熱い思い

Posted by erkazm on 25.2016 掲載記事 0 trackback
ロゴスの市 (文芸書)
ロゴスの市 (文芸書)
posted with amazlet at 16.01.25
乙川 優三郎
徳間書店
売り上げランキング: 1,860


男は翻訳家。コツコツと孤独に言葉と格闘してきた。

女は同時通訳。人と交わり行動することで言葉を獲得してきた。

英語という同じ言語を使う商売でありながら、二人の意識は常に食い違う。だからこそ魅かれて恋をした。本書はそんなふたりの35年にも及ぶ物語である。

成川弘之と戒能悠子が出会ったのは二十歳の頃。同じ大学で英語学を専攻していた。目の前には無数の可能性が転がっていたが、そのなかから一つを選択するのは若者には難しい。だが不思議なことに、仕事の方から近づいてくる場合もある。言葉を武器にしたいと漠然と考えていたふたりも仕事に選ばれた人間だ。

じれったいほど進まない二人の関係とは裏腹に、彼らは確実に実力をつけていく。運も彼らを味方する。人との関わりより仕事のほうが確実に楽しかったのかもしれない。愛より仕事を選んだことを誰も責めることなどできはしない。

タイトルの「ロゴス」には言語の他に論理や真理という意味もある。言葉の世界に一生を捧げた男女が、言葉を必要としない心の中で悩み苦しみ、ひとりで決断していく。人生には何度も岐路があるけれど、歩ける道は1本だけ。後悔しても戻ることなどできない。

登場人物だけではない。作者もまた言葉と格闘している。物語の細部まで考え抜かれた表現のひとつひとつに感嘆する。

静かな小説だ。だが、中に秘めた思いはマグマのように熱い。美しいラストシーンまで堪能してほしい。

(公明新聞 2016/1/18 「ちょっと気になる」)


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