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『ローラ・ブッシュ自伝 脚光の舞台裏』 アメリカでもっとも愛されたファーストレディ

Posted by erkazm on 16.2015 未分類 0 comments 0 trackback


500ページ二段組み。ひさびさにガッツリ読み応えのある自伝である。2001年から8年間、第43代アメリカ大統領ジョージ・W・ブッシュと共に歩んだファーストレディ、ローラ・ブッシュ。原題は『Spoken from the Heart』。直訳すれば「心の中を正直に吐露する」とでもなろうか。堅実な人柄から「アメリカでもっとも愛されたファーストレディ」と評される人だけあって、タイトルもとても真摯である。

1946年11月4日、テキサス州ミッドランドに生まれたローラ。父親は自動車のローンを購入者に斡旋する金融会社に勤めており何不自由なく育つ。唯一残念だとしたら、あとから生まれた弟や妹がみんな死んでしまい、一人っ子だということぐらいだ。

大きな家、大きな冷蔵庫、花柄のベッドカバー、チキンフライ、庭ではバーベキュー。かつて見た1950年代のアメリカのテレビドラマそのままの生活だ。14歳で免許を取った。

成績が良くてまじめで読書が大好き、常に上級クラスにいた。だがローラが17歳のある夜、交通事故を起こし友人を死なせてしまう。彼女の心の傷は深く大きかった。大学卒業後、小学校の教員や図書館司書などを務めたが、この事故の後遺症は大きく30歳過ぎまで独身ですごした。彼女の傷を癒したのがジョージ・w・ブッシュだ。


ちょっと想像できる?ミッドランドで一番結婚に適した独身男性が、ミッドランドのいき遅れ代表と結婚するだなんて



ふたりの結婚は、世間でそう噂された。彼女は31歳になっていた。

新婚直後からジョージは共和党員としてアメリカ連邦議会の議席獲得に乗りだす。父親のジョージ・H・W・ブッシュ、通称・パパブッシュは当時下院議員の二期目。祖父も上院議員であり、ブッシュ家は政治家の血筋であったのだ。

子供はなかなか授からなかった。パパブッシュが副大統領職にあった34歳で、ようやく女の子の双子を妊娠した。バーバラとジュナ、彼女の宝物である。

ここまでは普通の主婦とそれほど変わりはない。夫の大酒に苦しみ、嫁姑の諍い、子供のPTAなど、国が変わっても妻の悩みは同じだ。しかし義父が大統領を辞め、夫がテキサス州知事となった頃から、ローラは徐々にファーストレディとしての自覚が出てきたようだ。公邸に住み人に見られることを前提に過ごす。夫だけでなく、自分も教育問題に取り組み、特に幼児教育や児童虐待に力を注いでいく。

やがてジョージは大統領を目指し、選挙戦に突入する。大統領選は長丁場である。しかしブッシュ夫妻、そしてアル・ゴア夫妻にとって、2000年の選挙戦最後の35日ほど長いときはなかただろう。フロリダ州の再集計は、世界中が見守り続けた。43代大統領としてジョージが決まったときは就任式までわずか5週間、通常の半分しかなく用意は大慌てで行われた。

ジョージ・W・ブッシュが大統領であった8年刊は大事件の連続だったと言っていい。就任直後の9.11のニューヨークとワシントンD.C.で同時多発テロ、直後に報復攻撃の準備に取り掛かり、10月7日にアフガニスタン侵攻。国内は炭疽菌小包による無差別殺人が起こり死亡者もでた。12月7日にタリバーンを壊滅させた。翌年3月19日、イラク戦争開始。5月1日には終結宣言が行われ、徐々に民主化への道を探り始める。12月にはフセインの逮捕。しかし自爆テロなどは絶えず、戦争の引き金となった大量破壊兵器も見つからなかった。2004年8月29日、ハリケーン・カトリーナの大災害。イラク戦争の後遺症は大きく、支持率は歴代大統領としては最低の28%まで落ちる。

2008年、共和党候補ジョン・マケインが民主党候補バラク・オバマに敗退した。その後リーマン・ショックによる世界同時不況が起こる。2009年1月20日正午、任期満了で大統領を退任。

特に9.11以後のアメリカをローラは冷静に見つめている。本書の白眉である。夫である大統領を陰で支え続け、各国首相の対応や国民の反応を、一番身近な人間としてブッシュに報告している。辛辣な人物評もユーモアに包みつつ筆鋒は鋭い。

本書で初めて明らかにされた、9.11以降、ブッシュ一家を襲ったテロの情報は戦慄する。どこで何をしていても情報機関から「狙われている」と報告されれば、すぐさま逃げなくてはならない。フセインの息子の宮殿の壁いっぱいに二人の娘の写真が貼られていたとは、なんとおぞましい話なのか。

緊迫した政治経済状況とは一線を画し、ローラは女性を通じた世界外交を広めていく。教育を受けられない国、エイズに怯える国、産院のない国。女性が幸せに平和に暮らせるよう、ローラはファーストレディの立場を目いっぱい有効に使っていた。

大統領が主催するパーティの準備の様子も楽しい。食事を共にすることは、非常に有益な外交手段なのだ。ローラは恵まれた人脈を持っていた。それは誠実な性格の表れなのだろう。前大統領夫人のヒラリー・クリントンとも親しく、多くのアドバイスをもらっているし、国家安全保障問題担当大統領補佐官のコンディ・ライスとも非常に近しい間柄だったようだ。

日本の首相、小泉純一郎との交流はご愛嬌。今思えば、2001年から6年までの長期政権を保ったことは、アメリカとの関係でいえば、とてもよかったのではないだろうか。ローラもちょっと茶化しながら日本の首相の人柄を褒めている。

ホワイトハウスは大統領の住居である、ということを本書で改めて認識させられた。歴代の大統領とその家族が暮らしたということを、ローラはとても大事にした。その上でもっと暮らしやすく、快適に過ごせるように最後まで手を入れている。

使用人たちにも誠実に接し、離任する際にはホワイトハウスで働く執事、ペンキ職人、門番、電話のオペレーターなど従業員全員をオーバルオフィス(大統領執務室)に招き写真撮影を行った。ここに勤めて40年になる人でも、オフィスに招き入れられたのは初めてで、感激のあまり目を潤ませていたという。

本書を翻訳した村井理子はブッシュ大統領のストーカーを自認し、任期中、彼の行動を見張りニュースに目を通し、ユニークでちょっとドジな人柄をネットに上げてきた。後に『ブッシュ妄言録』を上梓したが、外国人がアメリカ大統領をウォッチしたものとしては、出色の出来だとおもう。その彼女ですら、ローラに対して最大限の賛辞を惜しまない。現在でも各国女性の教育や保健衛生、識字率の向上のための活動を続けている。(村井理子の翻訳者のワンコイン恋文はこちら)

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