Loading…
 

スポンサーサイト

Posted by erkazm on --.-- スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『包丁侍 舟木伝内 加賀百万石のお抱え料理人』 グルメな殿さま、満足す。

Posted by erkazm on 06.2013 HONZ 0 comments 0 trackback

包丁侍 舟木伝内: 加賀百万石のお抱え料理人包丁侍 舟木伝内: 加賀百万石のお抱え料理人
(2013/10/11)
陶 智子、綿抜豊昭 他

商品詳細を見る


石川県金沢市。ここは加賀百万石の御膝元で、代々前田家が藩主となり、江戸時代から文化的に栄えた町である。冬の風物詩、フードピア金沢は1985年から毎年2月に開催され、日本中から多くの観光客を集めている。2014年の情報はまだないが、きっと企画中だろう。


名前が示すように、このイベントは食を中心にしており、老舗料亭に各方面から著名人を呼び、伝統的な加賀料理を堪能しながらお話を聞いたり、亭主自らが店や料理の由来縁起を語ったり、と大変楽しい催しとなっている。私も過去、3回ほど参加しており、そのときは輪島や上時国(かみときくに)家を訪問し、冬の日本海の味を堪能した。

加賀料理は京都の味をベースに、江戸からの新しい技術を加味した斬新なもので、それを支えたのが、藩内に実在した「包丁侍」というお役目である。前田家のまかない料理を始めとし儀式全般を執り行うこの包丁侍のなかでも、ひときわ、御役目に熱心であり創意工夫を重ねた侍、それが舟木伝内包早であった。

本書は江戸時代、宝永4年、4代目藩主・前田綱紀からお料理人として召し出された伝内と、その息子の安信の足跡をたどりながら、彼らが書き残した加賀料理の数々を、金沢市内の料亭の協力の元、四季折々で再現した記録である。

今でこそ「人気のシェフ」はある種のヒーローのようにマスコミを賑わわせているが、料理人は元来、裏方である。料理の姿は残っても、料理人の名前まで残っていることは少ない。しかし、この前田藩の包丁侍である舟木伝内は教養も高く、後の人、とくに息子に読ませるために多くの書籍を書いていた。料理人としての腕ばかりでなく、文筆家としても秀でていたようだ。

伝内が仕えた綱紀は、加賀百万石の土台を築いた名君であり、藩政改革にも成功。学問を好み文芸や工芸を奨励した。また食に対しても貪欲で、江戸の下屋敷には好みの野菜や芋を植えさせるほどであった。

当然、料理の好みもうるさく、伝内が記した綱紀の好きな料理には皮を引いた鯛のうす作りとナマコの細切りに暖かい酢をかけた“あたためなます”や“揚げ豆腐”、くしこと大豆を煮た“ふと煮”などがある。殿さまのお気に召し、順調に舟木家は包丁侍として出世していった。

藩主の料理人であれば、正当な包丁道を収めていなくてはならない。舟木伝内は藩命をうけて、江戸幕府の台所頭、小川甚四郎に師事し四条薗部流の「包丁」の伝授を受けている。このとき、鳥、鯉、魚それぞれの切揃(きりそろえ)を相伝され、ある種、宗教的な行事としての料理をも体得していた。

年頭のおめでたい行事として「鶴包丁」「鯉包丁」という、鶴や鯉を儀式に則って切り分け披露する技も身に付けた。本書には、切り分けの図式も描かれており興味深い。

本書の何よりの魅力は、第二部の「加賀の大名料理を再現する」という章である。四季折々の旬を頂くため、現代の料理人たちが舌を巻くほどの高度な技術をもって仕上げていく。

基本となる出汁は、まず鰹節の最上級品、土佐の三年節を使い、水一升一、二合(約2リットル)に鰹節1本を削ったものを使う。現在の出汁ではありえないと料理人は言うが、濃厚で軽く甘いそうだ。

筍羹はタケノコを皮のまま味噌煮にしたもの。鯛の唐蒸しは、御祝い料理として今でもよく食べられている。姿のままの鯛のおなかにオカラを詰めて蒸したもの。

加賀の巻寿司は馴寿司から早寿司への変遷がみられる。ます、さけ、たい、たまごせんべいを薄くへぎ、強めに塩加減した酢につけたものに、かために炊いたご飯を一粒ずつむらなく並べ、それを竹の皮に巻いたものを、別に炊いたご飯の中に1日埋め込むのだ。なんとも手間とお金のかかる料理である。

この時代でも鯛は一番の御馳走であったらしく、鯛のすり身と卵の黄身を二段にあわせて蒸した“山吹重”、鯛を丸ごと水で煮たものに、調味した味噌を合わせて食べる“湯鯛”など、HONZの土屋敦なら、間違いなく作っただろう料理の数々は想像するだけで楽しい。

金沢の名物といえばゴリである。特に今では大変珍しいマゴリの料理に興味を持った。生きているままにその姿を保ってひれを広げたまま揚げるのには相当な習練が必要だ。

加賀料理の代表ともいえる治部煮。魚の切り方から小麦粉の付け方、出汁の調味まで丁寧に書かれており、これなら私にも出来そうである。

本書はこの12月に公開される「武士の献立」という映画の料理考証を行った近世・近代の礼儀作法の専門家である陶智子がまとめていたものだか、昨年、病を得て他界。元同僚で舟木家の料理書の研究をしていた綿抜豊昭がそのあとを引き継いで著した作品である。



本書では想像するしかない料理儀式の様子を映画では見ることができるだろう。金沢の料亭が協力したというこの映画、公開が楽しみである。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
加賀藩下級武士といえばこの本。


スポンサーサイト


  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:http://erkazm.blog10.fc2.com/tb.php/122-1dd5766f

プロフィール

erkazm

Author:erkazm
書評家・東えりかのブログです。
主にオススメの本を紹介していきます。
(文中敬称略です。悪しからず)

https://twitter.com/#!/erkazm
Facebookも始めましたが、何がなにやら…

カレンダー

03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -

プロフィール

erkazm

Author:erkazm
書評家・東えりかのブログです。
主にオススメの本を紹介していきます。
(文中敬称略です。悪しからず)

https://twitter.com/#!/erkazm
Facebookも始めましたが、何がなにやら…

FCカウンター

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。