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大野更紗『困っている人』(ポプラ社)

Posted by erkazm on 28.2011 未分類 0 comments 0 trackback
困ってるひと困ってるひと
(2011/06/16)
大野 更紗

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子供の頃から頑健で、大きな病気をしたことがない。残念ながら子供も生まなかったので、入院をしたことがない。それどころか骨を折ったことも疵を縫ったこともなく50歳を超えてしまった。
 
だから病気の人の気持ちがよくわからない。痛みや苦しみ、悲しみを自分が感じたことがないので、お見舞いが苦手だ。どう励ましてもウソ臭く思えてしまう。自分の具合が悪くても、病院に行くのさえ躊躇われる。

さてここに、私と同じように健康な女子大生がいた。上智大学フランス語学科に入学後、ひょんなことからビルマの難民支援にのめりこむ。現地にも飛び国際問題として研究しようと大学院にも合格した。意気軒昂に活動を始めるはずが何かおかしい。体が動かない。病院でも原因がわからない。何が起こっているの?私に一体。一人での移動もままならなくなったとき、ようやくある病院の「オアシス」にたどり着く。


 大野更紗『困っている人』(ポプラ社)は、原因不明の病気に長く苦しんでいる一人の少女の物語である。いわゆる闘病記に入るのだろうが、なにしろこの娘、好奇心と鼻っ柱がものすごく強い。ようやく辿り着いた病院の優しい先生を頼りに、様々な行動に出る。

彼女の病気は日本で数人しかいない名医ででも判断の付かないほどの難病だった。奇人としか見えない医者に麻酔なしの手術を受け「イタイイタイ」と泣き喚き、ほかの難病患者に恐れをなしつつ出た病名は「皮膚筋炎」と「筋膜炎脂肪織炎症候群」の併発であった。これは「難病医療費等助成制度」に該当している。助成を受けなければ、膨大な治療費が自腹になる。動けない体を鞭打って、助成を受けるための書類を書き進める。

私は確かに病気のつらさはわからない。しかし書類申請の面倒くささや役所の人間の慇懃無礼さについてはよく知っている。困っている大野更紗の怒りや不条理さはよくわかるのだ。健康体でも嫌になるような煩雑な手続きを代行してくれる人はいないのか。
 
治療法も確立されていないので、一時は危篤状態になりお尻から大出血したりもする。最初は茫然自失だった更紗は、ある日革命を起こすことを心に誓うのだ。ベットからの脱出、一人暮らしのはじめ、けなげな恋の始まりだが、常人でも大変なあれこれを、少しのミスも許されないほどの綿密な計算で切り抜けていく。
 
「シヌ、シヌっていうやつが死なないんだぜー」と子供の頃の囃子声が聞こえてきそうなほど、更紗の体調は一進一退のようだ。しかし初志貫徹。一人暮らしが始まった。その暮らし方の様子は、また次回の作品で。
  

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