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ケン・ハーバー『父さんのからだを返して-父親を骨格標本にされたエスキモーの少年』(早川書房)    @本の雑誌 2001.11月号

Posted by erkazm on 26.2011 掲載記事 1 comments 0 trackback
「人体の不思議展」が京都地裁に提訴されたというニュースを見て、正直なところ「まだやっていたのか!」と驚いた。

私は最初に公開されたときに見に行っている。15年ほど前じゃないだろうか。人体をそのまま加工し標本にしている、ということに興味があったし、むき出しになった構造を観察してみたかったのだ。

最初は面白かった。とても混んでいたので会場全体が興奮状態にあったのだとも思う。しかしそのうち、気分が悪くなった。観ているというより、観られている。ここのある標本が、かつて今ここにいる人たちのように、笑ったり走ったりしていたのか、と思うと、背筋に冷たいものを感じた。申し訳なくも思った。結局、全部見ないで帰ってきてしまった。

数年後『父さんのからだを返して』というノンフィクションを読み、この展覧会を思い出した。
今回のこのニュース、改めて読み直そうかと思っている。

父さんのからだを返して―父親を骨格標本にされたエスキモーの少年父さんのからだを返して―父親を骨格標本にされたエスキモーの少年
(2001/08)
ケン ハーパー

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@本の雑誌 2001.11月号

読書の秋である。少し暖かいお酒が恋しい夜、長尺ものの本を読み始める瞬間が好きだ。本の中に入り込み、知らない世界を浮遊するように読み進めている時、私は限りなく幸せである。
今月はノンフィクションの当たり月。力作揃いが嬉しい。

ケン・ハーパー『父さんのからだを返して 父を骨格標本にされたエスキモーの少年』(鈴木主税・小田切勝子訳早川書房二五〇〇円)は、二〇世紀初頭、北極点発見競争の最中、アメリカに連れてこられたエスキモーの悲劇が描かれている。

探検家たちは、アラスカ・エスキモーを従え、家来、ひどい場合は奴隷のように使っていた。その一人、ピアリーはニューヨーク自然史博物館の学者から「人類学」のためにエスキモーを連れて来て欲しいと頼まれ、この本の主人公ミニック、父親のキスクをはじめ六名が選ばれた。ニューヨークではミニックを残して他のエスキモーたちはすぐに病で亡くなってしまう。幸いにもミニックはすくすくと成長する。ある日、学校で自然史博物館に行くと、そこには埋葬されたはずの父親キスクの骨格標本が展示されていた。

なんともやりきれない話である。「科学」という錦の御旗の元では何をしても許される、という学者の傲慢さは、現在でもよく見られることだ。そのうえなんとか恥を隠そうとする。キスクの身体を返して欲しいと懇願するミニックに「そんなものはない」と突っぱねる博物館側。

ミニックは都会に絶望し国に帰るのだが、言葉をすっかり忘れてしまっていた。狩猟生活と都会の生活という両極端を体験してしまい、彼はいつも身の置き所がなかっただろう。ミニックを愛した人々がいたことは、ひとつの救いである。伝説のようにエスキモーに伝えられていたこの物語を掘り起こした著者に拍手を贈りたい。
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