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菊池良生『警察の誕生』(集英社新書)

Posted by erkazm on 22.2011 本のキュレーター 0 comments 0 trackback
1月の課題本は『警察の誕生』です。

警察の誕生 (集英社新書)警察の誕生 (集英社新書)
(2010/12/17)
菊池 良生

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以下は文芸誌に発表することを想定した書評です。

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出版不況だ、小説が売れないと言われるが、ここ数年、調子がいいのは警察小説である。書き手も豊富だ。
『新宿鮫』シリーズの大沢在昌、『隠蔽捜査』でデビュー30周年にして吉川英治文学新人賞を受賞しブレイクを果たした今野敏。警察一族三代を描いた『警官の血』が好評の佐々木譲。女性刑事・姫川玲子シリーズの誉田哲也。横山秀夫や逢坂剛、東野圭吾と当代の人気作家が並ぶ。

しかし、一般の人が出会う警察、いわゆるお巡りさんは交通の取り締まりか落し物を届ける交番の巡査くらいが関の山。泥棒にでも入られようものなら、捜査に来た警察官が神様のように見える。
警察を舞台にした小説を書く作家以外に、その組織や役割を熟知している人はあまりいないのではないだろうか。

さて今回紹介するのは菊池良生『警察の誕生』(集英社新書)である。
著者はオーストリア文学を専攻し、ヨーロッパの王朝史に詳しい明治大学教授。「そんな人がなぜ警察?」と疑問に感じながら読み出すと、実は「ヨーロッパにおける警察機構の成り立ちと進歩」というサブタイトルが必要な一冊であった。

日本の警察機構は明治維新の折、元薩摩藩士の川路利良がフランスの警察機構をお手本にして導入したことはよく知られている。ではヨーロッパの警察機構はどのように発展してきたのだろうか。
本書はそれを古代オリエントからひも解いていく。
旧約聖書に表された「夜巡者等」が最も古い警察制度のひとつであったのだそうだ。それは人々の安全を守るためではなく、集団の犯罪を防止する公安警察的な役割であった。
古代ペルシャ、エジプト、ギリシャ、共和制ローマ、帝政ローマも同じく、警察制度は政府に対する犯罪の規制と鎮圧のために作られた。そしてそのことは基本的に近代警察も変わっていないのだと言う。
背景には王権や教会、都市の権力者たちの思惑が色濃く反映されていた。

著者はヨーロッパの警察機構を「イギリス型」と「大陸(フランス・ドイツ)型」に大別する。日本は開国後、公安警察の側面を強く持つ「大陸型」の警察機構を採用した。当初は旧幕政機関の警察、いわゆる奉行所に預けられた後、一時的に律令制度の機構にまで遡る。上野の山の彰義隊を一掃した後、薩摩藩出身者が牛耳る「警視庁」の創設となる。

ちょうど、この時代を舞台とした「警察小説」の新刊が発売された。杉本章子『東京影同心』(講談社)は江戸から明治維新を生きた、南町奉行所定回り同心「金子弥一郎」の活躍を描いた短編集である。
文久・慶応・明治に起きた大変動を気風と男気で駆け抜ける。『警察の誕生』で明かされる岡っ引きの実入りのカラクリもさりげなく挿入されている。こういうことかと思わずほくそ笑んでしまう。
明治維新後の警察に興味を持った方にお薦めだ。 

東京影同心 (100周年書き下ろし)東京影同心 (100周年書き下ろし)
(2011/01/14)
杉本 章子

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